
本記事の内容
この記事を読んでいただくと、国や都道府県の中小企業支援施策概要が理解できます。
・2019年に国が実施する予定の補助金・助成金が理解できます。
・国や都道府県の支援メニュー概要が理解できます。
・中小企業を顧客に持つビジネスを行う経営者やサラリーマンが、営業ツールとして活用できます。
国と都道府県の支援体制とは?
国と都道府県、市区町村と3つのレイヤーで中小企業支援は行われています。
それぞれの機関や役割は下記のとおりです。
レイヤー | 役割 | 経営支援 | 技術支援 | 金融支援・その他 |
---|---|---|---|---|
国 | 先進的なモデル事業や予算規模の大きな事業を展開し、事業の利用ハードルが高い。 | ・経済産業省 ・中小企業庁 ・中小企業基盤整備機構機構 | ・産業技術総合研究所 ・NEDO | 日本政策金融公庫 JETRO(日本貿易振興協会) |
都道府県 | 国と市区町村の中間的存在で、双方と連携をしながら、顧客に合致した支援策を紹介。 | ・東京都・県・北海道 ・都道府県中小企業支援センター ・ | ・産業技術研究センター(公設試) | 信用保証協会 |
市区町村 | 一番身近な相談窓口で、各事業も利用しやすい。 | ・区役所、市役所 ・商工会、商工会議所 | - | 区役所、市役所 |



中小企業さんは、こうした支援体制や様々な支援メニューのことを知りません。お客様に中小企業さんが多いサラリーマンのみなさま、是非営業時にその会社の経営課題を聞いてその解決手段を一緒に考えてあげてください。その解決手段の一つとして、公的支援メニューをご案内して経営改善が少しでも進めば、現時点でその製品やサービスを購入頂けなくても、長期的には信頼関係が構築されて、継続的なお取引に繋がるはずです。
るるやま も、IT企業で営業をしていた際に、クライアントの経営課題を聞き出し、こうした支援メニューをご紹介していました。
ここで、その支援の対象=国が中小企業基本法で定める「中小企業・小規模企業」の定義は下記になります。下記定義に当てはまっていないと、補助金や助成金は対象にならないケースが多いです。
中小企業の定義
業種 | 定義 |
---|---|
製造業・その他(ソフトウェアなど) | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人 |
卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人 |
サービス業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
小規模企業の定義
業種分類 | 定義 |
---|---|
製造業・その他 | 従業員20人以下 |
商業・サービス業(商業は卸売業・小売業) | 従業員 5人以下 |
一番身近な相談窓口のご紹介(相談は無料)
唯一のコンサルタント国家資格「中小企業診断士」による経営相談だけでなく、弁護士による法律相談や、税理士や会計士による税務相談など幅広い、様々な経営課題に対応している相談窓口が多いです。
レイヤー(予算元) | 相談窓口の名前 | 相談窓口の特徴 |
---|---|---|
国 | よろず支援拠点 | 全国47カ所の設置された無料の相談窓口で、専門家が様々な経営課題に対してアドバイス。東京は、「東京都よろず支援拠点」 |
都道府県 | 都道府県中小企業支援センター | 各都道府県に1つは必ず設置されている支援機関。東京の場合は、東京都中小企業振興公社が行うワンストップ総合相談。 |
市区町村 | 産業振興窓口は、各市区町村により名称が異なるため、「市区町村名+産業振興」で検索。 | 市役所や区役所には産業振興を行う窓口があり、様々な相談対応や支援メニューを用意。東京の千代田区の窓口は区役所商工融資係。 |
補助金と助成金とは?
補助金と助成金の違い
「補助金」と「助成金」は、各事業を実施する主体によって意味が異なりますが、基本的には、「資金的支援」という点で同じで、返済義務のないものという共通点があります。
補助金も助成金も、その事業ごとに目的があり、その事業目的を達成するために、申請書を作成し、その申請書に記載した経費の一部を援助する(=リスクに対する支援)ものです。
補助金とは
補助金は、応募期間内に申請書を提出し、審査(書類・面接)に合格(採択と言います)したら、支給される資金です。それぞれの補助金ごとに目的や目標が設定されており、目標が達成されるまでは、自己資金で事業を行い、検査が終了して支払いがされる、という特徴があります。
主な補助目的(一例)
①創業や開業など新たな事業を開始することに対する補助
②新しい製品やサービスの開発に対する補助
③新たな販路開拓を行うための補助(展示会や商談会のマッチングなど)
④新たな設備投資に対する補助
助成金とは
助成金は、一般的には、一定の条件を満たすことで必ず支給される資金です。例えば、厚生労働省が行う「雇用増加」「人材育成」といった目的のものが多いです。
主な補助目的(一例)
①失業の予防や雇用の維持・雇用機会の増大のためのもの
②従業員の能力開発・人材育成のためのもの
③高齢者の雇用の維持・拡大のためのもの
④仕事と家庭の両立のためのもの
国の2020年度「補助金」の種類 ※年度は4月〜翌年3月まで
毎年4月から年度がスタートすると、補助金の説明会も開催されるようになります。秋口までにはほぼ受付を終了している補助金が多いので、年度当初から「ミラサポ」という支援情報サイトを確認しておくことが必要です。
現在、2020年の補助金の詳細は発表されていませんが、2019年度まで実施されていた「3種の神器」にあたる3つの補助金があります。
先日、経済産業省から「令和2年度の経済産業省の概算要求のポイント」では、その3つの補助金がしっかりと記載されていたので、令和2年度もおそらく同じ内容で実施されると思われます。
では、その「3種の神器」となる補助金についてご案内しますね。
①ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 2019年応募要領
この補助金は、中小企業や小規模事業者等が取り組む、生産性向上につながる革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資等に資金的な支援を行うものです。例えば、「新しい事業にチャレンジしたい」「工場の生産ラインを増強したい」「サービスの質を向上したい」など経営課題の解決に取り組む中小企業さまにはとても良い補助金だと思います。ちなみに、2019年度は、4月と9月の2回公募がありました。
※申請に必要な手続きの流れ(まずは、「認定支援機関」という国が指定する中小企業支援者へ相談してください。リンク先が検索システムになっています。)
項目 | 概要 |
---|---|
公募期間 | ・公募開始:2019年2月18日(月) ・第一次締切:2019年2月23日(土)〔消印有効〕 ・第二次締切:2019年5月8日(水)〔消印有効〕 |
応募対象要件 | 認定支援機関の支援を受けてて、以下の要件に取り組む中小企業・小規模企業 ①「中小サービス事業者の生産性向上ためのガイドライン」で示された方法で行う革新的なサービスの創出やサービス提供プロセスの改善であり、付加価値額年率3%及び経常利益率年率1%の向上を達成できる計画であること ②「中小ものづくり高度化法」ぶ基づく特定ものづくり基盤技術を活用した革新的な試作品の開発、生産プロセスの改善であり、付加価値額年率3%及び経常利益率年率1%の向上を達成できる計画であること |
補助額と補助率①一般型 | 補助額:100万〜1,000万円・補助率:1/2 中小企業・小規模企業等が行う革新的なサービス開発、試作品開発、生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援。 |
補助額と補助率②小規模型 | 補助額:100万〜500万円・補助率:1/2 |
主な補助対象経費 | 機械装置費、技術導入費、運搬費、専門家経費、クラウド利用費 等 |
申請書記載事項 | ・応募者概要 ・事業計画内容 >対象事業の具体的内容 >将来展望 >会社全体の事業計画(数値) |
②小規模事業者持続化補助金 2019年度応募要領
この補助金は、小規模事業者(上記基準参考)が、商工会議所などの助言を受けて経営計画を策定し、その計画に沿って行う販路開拓や生産性向上の取り組みに資金的な支援を行うものです。例えば、「自社のブランド力を高めたい」「製品(商品)や技術をPRしたい」「ホームページを開設したい」などの課題解決に取り組む小規模事業者さまにはとても良い補助金だと思います。ちなみに、2019年度は、5月に公募がありました。また千葉県の台風被害に伴う災害支援を目的として、10月に公募がありました。
※申請に必要な手続きの流れ(まずは、お近くに商工会議所か商工会へご相談下さい。リンク先が検索システムになっています。)
項目 | 概要 |
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公募期間(2019年度の場合) | ・公募開始:2019年4月25日 ・応募締切:2019年6月12日 |
応募対象要件 | ①小規模事業者 ②商工会議所や商工会の管轄地域内で事業を営んでいること ③持続的な経営※に向けた経営計画を策定していること ④他不適格要件に合致していないこと(公募要領参照) |
補助額と補助率 | 補助額:50万円・補助率:2/3 |
主な補助対象経費 | 機械装置等費、広報費、展示会等出展費、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、専門家謝金・旅費、車両購入費、設備処分費、委託費、外注費 |
申請書記載事項 | ・応募者概要 ・事業内容概要 >販路開拓の内容 >業務効率化の内容 >事業の効果 >経費の明細 >資金調達方法 |
その他 | 下記条件の場合補助額UPあり。 ①1市区町村による創業支援等事業の支援を受けた事業者 ② 2市区町村の推薦を受けて当該市区町村の地域再生計画等に沿う買い物弱者対策等の事業を行う事業者 |
③I T導入補助金 2019年度応募要領簡易版・2019年度応募要領詳細版
この補助金は、中小企業・小規模事業者等が、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上向上の取り組み等に資金的な支援を行うものです。例えば、「ITを活用して業務の効率化を実現したい」「ITで経営の見える化をしたい」「ITで働き方改革を推進したい」などの課題解決に取り組む中小企業さまにはとても良い補助金だと思います。ちなみに、2019年度は、5月と7月の2回公募がありました。
※申請の流れ(概要)(まずは、お近くの「IT導入支援事業者」へご相談下さい。リンク先が検索システムとなっています。)
項目 | 概要 |
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公募期間(2019年度の場合) | ・第1次公募開始:2019年5月27日〜6月12日 ・第2次公募開始:2019年7月17日〜8月23日 |
応募対象要件 | ・中小企業・小規模事業者等であること。 ※上記以外にも「SECURITY ACTION ・労働生産性の伸び率の向上について3年後の伸び率1%以上、4年後の伸び率1.5%以上、5年後の伸び率2%以上の数値目標を作成すること。 ・交付申請の内容については、「IT導入支援事業者を含む“第三者”による総括的な確認(※)」を受けること。 |
補助額と補助率 | ・A累計補助額:40万以上〜150万円以下・補助率:1/2 ・B累計補助額:150万以上〜450万円以下・補助率:1/2 ※A累計とB累計の違いは下記参照 |
主な補助対象経費 | ソフトウエア費、導入関連費等 ( IT導入支援事業者によりあらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用) |
申請書記載事項 | ・応募者概要 ・事業内容概要 >販路開拓の内容 >業務効率化の内容 >事業の効果 >経費の明細 >資金調達方法 |
その他 | 下記条件の場合補助額UPあり。 ①おもてなし規格認証2019 ②固定資産税ゼロの特例を措置した自治体に所属 ③地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画 ④地域未来牽引企業 ⑤クラウドを利用したITツール導入の検討 |
※申請の流れ(詳細)
都道府県の補助金
都道府県の補助金も、国の補助金同様、4月から募集案内の告知がスタートする場合が多いです。(一部補助金は、1月、2月ごろ募集がスタートするものもあります。)各都道府県が直接実施している補助金もありますが、都道府県中小企業支援センターに委託をしている補助金も多くあり、この記事では、その一例として、2019年度の東京都及び千葉県の補助金概要をご紹介します。
①東京都の中小企業向け補助金
東京都の中小企業向けの補助金は、公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施主体となっているものが多いです。助成金事業という名称になっていますが補助金と同じ意味で使われており、「創業」「製品開発」「販路開拓」「知的財産」「設備投資」など、国よりも多くの種類の補助金を実施しています。
※補助金一覧
②千葉県の中小企業向け補助金
千葉県の中小企業向け補助金は、公益財団法人千葉県産業振興センターが実施主体になっているものが多いです。東京都同様に、助成金事業という名称になっています。「創業」「製品開発」「展示会出展」「事業承継」など幅広い種類の補助金を実施しています。
※補助金一覧
市区町村の補助金
市区町村の補助金は、国や都道府県より規模は小さいですが、とても使い勝手がよく、申請書類なども簡便なものが多いです。ただ、採択数などが少ないものが多いため、新年度がスタートしたら、早めに区役所や市役所の産業振興窓口に相談に行くことをお勧めします。この記事では、葛飾区と港区の中小企業向け補助金をご紹介します。
①葛飾区の中小企業向け補助金
東京の東エリアは、下町情緒あふれる町工場や職人の工房が集積している区が多いです。葛飾区は、タカラトミーなどの玩具大手企業があることから、金属加工やプラスチック加工などの製造業が多いことが特徴でです。助成金メニューは、「製品開発」「知的財産」「ホームページ」「展示会出展」など幅広いメニューを取り揃えています。
※補助金一覧
②港区の中小企業向け補助金
東京の南エリアは、大田区など湾岸の工場の多いエリアや港区や渋谷区など商業施設の多いエリアなど区ごとにそれぞれの業種構成には特徴があります。港区は、小売や卸売業、不動産業が多く、事業所数は23区で最も多いのが特徴です。助成金メニューは、葛飾区同様に、「製品開発」「知的財産」「ホームページ」「展示会出展」など幅広いメニューを取り揃えています。
※補助金一覧
本日のまとめ
中小企業の数は、357.8万者で日本全体の企業数に占める割合は、99.7%と非常に高いです。今日、記事に記載した支援策は、中小企業支援策のほんの一部に過ぎません。



今日も、記事をお読みいただき、ありがとうございました!
るるやま @ruruyamasan でした。
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