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【新型コロナ第2次補正予算成立(7/12)】家賃・資金繰り・助成金・給付に関する支援の充実

補正予算成立

 

るるやま
るるやま
新型コロナウイルスに関連して、ようやく家賃に関する支援スキームが6月12日に参議院本会議で可決されたよ。その第2次補正予算について詳細を説明するよ!

本記事の内容

この記事を読んでいただくと、6月12日に成立した第2次補正予算について理解できます。
・本予算や補正予算という国の財政政策について理解できます。
・第2次補正予算の「資金繰り」「家賃支援」「雇用調整助成金の拡充」支援などについて理解できます。※家賃支援は7月14日からスタートします(7/12)

本予算と補正予算について

国の予算は「財政法」地方自治体の予算は「地方自治法」、で規程されています。

本予算(当初予算)は、一会計年度(4月〜翌3月)までの年間予算として当初に設立された予算です。国の場合は、前年の8月末に各省が検討して提出した予算の概算要求を財務省が査定して年末までに財務省原案として作成し、様々な調整を行った上で政府案が決定されます。この政府予算案を1月中に国会へ提出し、3月末日までに成立することになっています。

令和2年度の当初予算は、下記になります。

令和2年度当初予算

補正予算は、本予算が成立した後に発生した事由によって、当初予算通りの執行が困難になった時に、本予算の内容を変更するように組まれた予算のことです。例えば、令和元年度は、災害対策や東京オリンピック関係の補正予算が、令和元年12月13日に閣議決定、令和2年1月20日から国会審議開始、令和2年1月30日に予算成立、という流れで成立しています。

令和2年度は、新型コロナ対策に関する第1次補正予算が、令和2年4月7日に閣議決定されましたが、特別定額給付金の条件面の変更(要件を満たした世帯30万円支給→全ての国民へ10万円支給)により、令和2年4月20日に予算案変更に閣議決定がされました。この変更の閣議決定は、非常に珍しいことでメディアでも多く取り上げられました。この予算案は、4月20日から国会審議が始まり、4月30日に成立しています。

令和2年度の第一次補正予算は、下記になります。

令和2年度補正予算

令和2年度の第1次補正予算概要はこちら

この補正予算により、歳入総額の公債金の比率が約31%から45%と14%も上昇しており、予算原資を国債にしていることが分かります。ちなみに公債金とは、国債を発行して借りたお金のことで、公債は、国債と地方債を合算したお金のことです。

上記を踏まえて、今回6月12日に成立した令和2年度第2次補正補正予算について説明をします。

令和2年度第2回補正予算の概要

令和2年度の予算規模をまとめると次の表になります。

第1次補正予算第2次補正予算合計
事業規模(民間含む)117,1兆円117,1兆円約234兆円
財政支出(財政投融資含む)48,4兆円72,7兆円約121兆円
一般歳出(国債発行)25,7兆円31,9兆円57,6兆円

表の「事業規模」とは、景気をよくする目的等で経済対策をした場合に動くお金の規模のことです。国による財政支出のほか、財政投融資、地方自治体や企業の資金、金融機関の融資なども含みます。このうち国の財政支出または国と地方合計の財政支出が「真水」と呼ばれるもので、国の財政を悪化させる真水の拡大を抑え、その他を膨らませて、事業規模を大きく見せる場合が多くあります。

令和2年度第2次補正予算の内容
令和2年度第2次補正予算概要資料はこちら

 

令和2年度第2回補正予算の5項目

総額32兆円の補正予算のうち、中小企業支援に関する予算は大きく5つあります。

中小企業支援に関する補正予算

1.家賃支援給付金【2兆242億円】
2.資金繰り対策【10兆9,405億円】
3.持続化給付金【1兆9,400億円】
4.雇用調整助成金の拡充【4,519億円】
5.中小企業生産性革命推進事業による事業再開支援 【1,000億円】

経済産業省の第2次補正予算資料はこちら

1.家賃支援給付金

緊急事態宣言前から多くの事業者から要望があった家賃の支援が、いよいよスタートします。
新型コロナウイルス感染症による5月の緊急事態宣言の延⻑等により、売上の急な減少に直面する事業者の事業継続を支えるために、地代・家賃の負担を軽減することを目的として、テナント事業者に対して給付金を支給します。

7/12追記:受付開始は7月14日からのスタートが決定しました。

【相談ダイヤル】
家賃支援給付金 コールセンター(0120-653-930(平日・土日祝日8:30~19:00))
詳細はこちらのページになります。

支給対象者

中堅企業、中⼩企業、⼩規模事業者、個⼈事業者等のテナント事業者であって、5⽉〜12⽉において下記のいずれかに該当するもの。
資本金10億円未満の中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者※ ※医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など、会社以外の法人も幅広く対象。
②5月~12月の売上高について、「1ヵ月で前年同月比▲50%以上」または、「連続する3ヵ月の合計で前年同期比▲30%以上」のいずれかの条件を満たすこと。
③自らの事業のために占有する土地・建物の賃料を支払っていること。

支給額

中堅・中小企業月に50万円個人事業主25万円を上限に、原則、賃料の3分の2を半年間給付する。
但し、複数店舗を借りている事業者は、上限額中堅・中小企業は100万円個人事業主は50万円に引き上げする。

2.持続化給付金の対象拡大

今までは、直近の創業者が活用できない制度でしたが、令和2年1月から3月末までに創業した事業者で、いずれかの月の売り上げが1月から3月までの平均より50%以上減少した事業者給付対象に加えることになりました。

フリーランスで収入を「雑所得」や「給与所得」として確定申告していた人も、契約や支払いを証明する源泉徴収票や支払調書など、事業を行っていることを確認できれば対象になります。

申請は原則、オンラインで受け付けは6月中旬をめどにスタートします。

3.雇用調整助成金の拡充

緊急事態宣言前から多くの事業者から要望があった雇用調整助成金の日額上限を段階的に引き上げることになりました。

(1)新型コロナウイルス感染症の影響により休業する事業主を支援するため、4月1日以降に開始される賃金締切期間中の休業について、9月まで雇用調整助成金の日額上限8,330円から 15,000 円まで特例的に引き上げます。
(2)同時に解雇等を行わない中小企業の助成率を 10/10 に引き上げ、緊急対応期間を9月まで延長します。
(3)支給処理に係る人員体制の強化及び社会保険労務士との協力体制の構築等により、雇用調整助成金の支給の迅速化を実現します。

4.資金繰り対策

(1)日本政策金融公庫等による実質無利子融資の継続・拡充(中小・小規模事業者向け) 【5兆5,683億円】
日本政策金融公庫及び商工組合中央金庫(危機対応融資)等が「新型コロナウイルス感染症特別貸付」等を継続し、さらに貸付上限額と利下げ限度 額の引き上げを実施します。

①日本公庫・商工中金等による特別貸付
・対象事業者:売上高▲5%以上減少等
・当初3年間基準金利▲0.9%(中小・危機1.11%→0.21%、国⺠1.36%→0.46%)
・貸付限度額:中小・危機6億円(拡充前3億円)、国⺠8千万円(拡充前6千万円) • 利下上限額:中小・危機2億円(拡充前1億円)、国⺠4千万円(拡充前3千万円)
②特別利子補給制度 一定の要件の下、当初3年間利子補給により実質無利子化。

(2)⺠間金融機関を通じた実質無利子融資の継続・拡充(中小・小規模事業者向け) 【3兆2,375億円】
都道府県等による制度融資を活用した⺠間金融機関の実質無利子融資を継続し、さらに融資上限額の引き上げを実施します。
・セーフティネット保証、危機関連保証について要件を満たせば保証料ゼロ。
・⺠間金融機関による実質無利子・据置最大5年の融資等について、融資枠を確保。

①信用保証料の減免:セーフティネット保証4号、5号、危機関連保証について、一定の要件の下、保証料をゼロ又は1/2に減免(上限4,000万円(拡充前3,000万円))。
②都道府県による制度融資を通じた利子補給:都道府県に対する補助(定額)を実施し、一定の要件の下、制度融資を通じた利子補給により当初3年間実質無利子化(上限4,000万円(拡充前3,000万円))。

(3)資本性資金供給・資本増強支援(中小・小規模事業者向け)【1兆2,442億円】
⻑期一括償還の資本性劣後ローンを供給するとともに、中小企業基盤整備機構出資の官⺠連携のファンドによる出資や債権買取等を実施します。

資本性劣後ローン金融機関が自己資本とみなすことができる資本性劣後ローンを供給することで、⺠間金融機関からの金融支援を促し、新型コロナウイルス感染症の影響 を受けている事業者の成⻑・再生やスタートアップ企業の資金繰りを支援。
※主な貸付条件(日本公庫中小、商工中金の例)
・貸付限度:最大7.2億円(別枠)
・貸付期間:5年1ヶ月、10年、20年(期限一括償還)
・貸付金利:当初3年間一律0.5%、4年目以降直近決算の業績が赤字0.5%、黑字2.6%又は2.95%

官⺠ファンドによる支援
・地域の核となる事業者の廃業・倒産を防ぐため、中小機構等による出資等を通じ、事業再生とその後の企業価値の向上を支援。「事業引継ぎ支援センター」とも連携し、出資先企業の第三者承継を促進し、地域の事業再編にもつなげる。
・中小機構を通じて債権買取りや出資等を行い、経営改善までのハンズオン支援を実施。「中小企業再生支援協議会」とも連携し、再生計画の策定と事業再生を促進。

(4)危機対応融資及び資本性劣後ローン(中堅・大企業向け)【8,905億円】
⻑期・低利の融資を実施するとともに、財務基盤が悪化している事業者に対して、資本性劣後ローンを供給します。
危機対応融資
・対象者 :最近1ヶ月の売上高が前年又は前々年同期比で5%以上減の者等
・適用金利:通常金利(中堅企業は当初3年間▲0.5%の利下げ)
・貸出期間:設備資金20年、運転資金15年
・貸出限度:上限なし
資本性劣後ローン
将来成⻑の可能性が十分にある、地域経済にとって重要な事業者等に対して、資本性のある劣後ローンを供給することで、⺠間金融機関からの金融支援を促す(中堅企業は当初3年間原則▲0.5%の利下げ)。

5.中小企業生産性革命推進事業による事業再開支援

業種別ガイドライン等に基づいて中小企業が行う、事業再開に向けた消毒設備や換気設備の設置などの取組を支援します。

特別枠(類型B又はC)の補助率を引き上げるとともに、感染防止対策の 取組に対して、新たに定額補助・補助上限50万円の別枠(事業再開枠) を上乗せします。

(1)事業再開枠(新設)の対象:消毒、マスク、清掃、飛沫防止対策、換気設備、その他衛生管理、掲 示・アナウンス
(2)特別枠の申請要件(※経費の1/6以上が、以下のいずれかに合致)
①類型A:サプライチェーンの毀損への対応
②類型B:非対面型ビジネスモデルへの転換
③類型C:テレワーク環境の整備

各補助事業の特別枠補助率引き上げ

 

中小企業・小規模企業向け新型コロナウイルスに関する給付金や補助金等の施策一覧は下記をご確認ください。

 

るるやま
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是非、ご自身のお客様に中小企業さんがいたら、まずは、①市役所や区役所の産業振興窓口か、都道府県の中小企業支援センターを教えてあげてください!!

 

今日も、記事をお読みいただき、ありがとうございました!
るるやま @ruruyamasan でした。